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男はつらいよ(ツマグロヒョウモン篇)

 「のんきと見える人々も、心の底をたたいてみると、どこか悲しい音がする」とか。
 暗記だから細かい表現は間違えているが、友人の無名猫君の名言である。
 生きていくのはつらいものだと、みんなどこかで知っている。生きていくとは死んでいくということですよ、などともぼやいてみたくなることもあり・・・・・・。それでも、男はつらいよとぼやきながら、尾羽打ち枯らしてもがんばっていくのよ。

 この数週間、通勤途中に褄黒豹紋君と行き会うことが多かったんだが、それが何度も繰り返されるうちに、一人の豹紋君ではなく、豹紋君1号、豹紋君2号・・・・・・と、たくさんの豹紋君が、つぎからつぎへと現れてくるのだと気づいた。

豹紋君1号
豹紋君1号
豹紋君2号
豹紋君2号
豹紋君3号
豹紋君3号
豹紋君4号
豹紋君4号
豹紋君5号
豹紋君5号
豹紋君6号
豹紋君6号

 豹紋君28号くらいまでは続いているのかも知らない。褄黒豹紋(ツマグロヒョウモン=隅っこが黒い豹柄紋様の蝶)君は道沿いにある一定間隔ごとにいて、そこにお隣の豹紋君が来ると近づいて、互いに挨拶しているはずはない、互いに争いを始める。「おう、おれのシマ、荒らしにキヤガッテ。」という感が半端でなく伝わってくる。

 そうなのね。オスは自分のナワバリをしっかりと守るのです。
 そこに現れた美貌の豹紋さん1号。
豹紋さん1号の1
 「ねえ、あたし綺麗?」
 「おう、あたぼうよ。おれとデートしねえ?」
 「あら、あたし面食いなのよ。ちょっとお隣に失礼しまーす」
と、花から花へ(ラ・トラヴィアータ)ならぬ、♂から♂へ。
豹紋さん1号の2
 この美しさ、お分かりいただけますか? 豹紋君1号~6号の紋様と比べてください。
 華やかでしょう?
 しかし、この紋様には秘められた理由があるのでした。
 じつは褄黒豹紋さん(♀)は、カバマダラという蝶のお姿を真似ているのでした。
なぜかというと、カバマダラさんは有毒の蝶でして、綺麗な薔薇には棘がある、綺麗な蝶には毒がある? 褄黒豹紋さんは我が身と卵とを守るために、カバマダラさんの真似をしているわけです。
 中島みゆきの名曲「悪女」と同じ、「悪女」のふり、毒のあるふり、すなわち「擬態」をするわけです。
 ※ただし、カバマダラは奄美以南に棲息する南方系の蝶です。褄黒豹紋さんご一行は地球温暖化によって、その分布範囲を北上させているので、カバマダラのいないこちらでもこの紋様のまま勢力を広げているのでした。
 カバマダラの写真は☟
 似ているでしょう? (最近はカバマダラも北上中とのことです。)

 もとい。
 このお嬢さん、豹紋君のナワバリを渡り歩いて、理想の彼氏にめぐり合う。
 そういえばなんだかうらやましいわと思うかも知らないけれども、現実は厳しいのよ。

 というわけで、続けて豹紋さん2号をご紹介しましょう。
 こちらの方です。
豹紋さん2号の2
 この写真です。あれ? どこにいるの? そこです、そこ。影男君の顔の左側。

 拡大しましょう。
豹紋さん2号の2の1
 たしかに、ここに。

 ようく見てください。
豹紋さん2号の1
 ♂から♂へと渡り歩くうちに、尾羽もすっかり打ち枯らしてしまって・・・・・・。
 あたしの青春を返してちょうだい、なんて言う気はないけれども、
豹紋さん2号の3
 あたしゃもうだめ。もう寝るぽ。
 褄黒豹紋さんは、女はつらいよ、とおっしゃっているかも知れません。
 ンなわけはない。卵を産むため、幼虫の食草のスミレの仲間を探しているのでしょうか?

 最近まで、褄黒豹紋は夏の間北上はするけれども、寒さのために越冬ができないので繁殖はできないと言われていました。ところが、息の話によると、この春は3月にうちの近くで飛翔していたとのこと。
 そんなに寒い時期から当地に北上してくるとはとても思えないので、これはおそらく蛹か何かの形で越冬できたのだろうと、これは息の見解でした。
 同時に、蛙が思うには、当地でも褄黒豹紋君が住み着いて、しっかりとナワバリを形成してかつての生活の地、南方同様の生活を営むようになったのだと思います。いまの時期は越冬前に♂と♀とが命の継承をめざすいとなみの時期かと。

 祝・真鍋淑郎博士ノーベル物理学賞受賞記念、蛙から地球温暖化にまつわる昆虫与太話でした。

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hylaschlegelii

焦らず、気取らず、のんびり構えられたらいいな。シュレーゲル雨蛙のつぶやきです。
なお、シュレーゲル雨蛙は実在しません。シュレーゲル青蛙は実在します。でも、ここにぼくは実在できる。ウェブ上とは、そういう時空だ。その意味で、「昔話」に似ている時空としてウェブを考えます。でも、世間は世間話、伝説と捉えていくことも多いでしょう。実際、虚実皮膜の間ということはある。けれども、ことばはことでなく、ことばです。ここでのぼくは、ことばだということをご理解ください。言わずもがなの「ことば」だけれど、蛙の分際で蛇足を加えました。

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