直前の記事にネコパパさんからいただいたコメントへのお返事です。
ちょっと長くお答えしたので、コメント欄だけでなく、記事に昇格させてこちらにも挙げておきます。
ネコパパさん
私もよくわからないのですが、「盗作美談」というネーミングには(たぶん記事とは違うのですが)感心しました。
「盗作美談」といえば思い出されるのは、めいさく(どのような漢字を宛てるかは各自それぞれ)『一杯のかけそば』です。
いま、ウィキペディアでぐぐって、今回の事件との不思議な(?)符合に気づきました。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E6%9D%AF%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%81%91%E3%81%9D%E3%81%B0
(2023年12月11日閲覧)
それはどちらも「産経新聞」絡みだということです。産経は、さすがに「道徳」を「どう説く」かに熱心です。
「一杯のかけそば」事件のときには、口承文芸研究者の間で、ああ、「大歳の客」の世間話ヴァージョンだ、と一時話題(笑い)になったですよ。
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「大歳の客」
【ある家の婆様が語る「ざっと昔」】
ざっと昔(むがす)、大歳【おおどし、大晦日のこと】の夕方さ見すぼらしい乞食【こずき。あるいは坊主などとも伝えている】が一夜の宿を借りに来たっけど、村の人たちゃお大尽(だいじん)ん家(ち)でもどこでも、誰(たれ)も宿さ貸さねかったーど。(オード)
ところがある貧乏な家(うち)の年寄り夫婦が、家(うち)さ招き入れで、「こんなー、貧乏な家で申し訳ねぇけんじょも、外で寝っよりもあったけぇから」って、土間(にわ)さ筵(むしろ)敷いて、寝かすて、そん上も筵さ掛けて、そーして寝せたーど。(おーど)
そすて、そん翌朝、はあ、正月の朝だもの、爺様(ずさま)あ若水さ汲んで来っぺと思って、はあ、床(とこ)さ出て、起きて、土間(にわ)さ通って井戸さ行こうとすっと、そすたところがそん脇さ通ったら、筵の下から乞食の息さ全然聞こえねーど。(オード)
爺様(ずーさま)と婆様(ばさま)ー、ほれ、その乞食さ死んですまったんでねえべが、と思って、ほれ、こいつぁ正月から縁起が悪(わり)いと悲しんだーど。(オード)
そんじぇも爺様あなあ、正月なん、こんままにぁしとれんからーと思って、ほれ、思い切って、筵さはぐって、中さ確かめたんだと、いいかい、ここさいーとこだから、はー、すっかり聴くんだぞー、(ウン)、乞食はそん姿ん大きさんまま、何(なーん)と、黄金(きん)さ変わっていたーど。(オード)
なあ。そーすて貧乏な爺様婆様は、大歳の客さちゃーんともてなしたもんで、福すくなってー、村一番のお大尽さなったーど。(おーど)
ざっと昔、さけたーど。
ほら、人には情けをかけるもんだと、昔(むがす)っから、言い言いしてきたからないー。おら家(え)の年寄りたち、人には情けをかけるもんだぞー、なんて言い言いしてたんだ。おら、子どもんとき、年寄りから、言い言いされたー。(一同笑い)
(「いやいや、おもしぇがったないー! 婆様(ばさま)さ、ざっと昔(むがす)語んの上手だないー。も一つ、何か語ってくんつぇー!」)
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ま、だいたいこんな感じかな。ちなみに「おーど」は聞き手の相槌です。この相槌で東北のどこらへんの昔語りであるか、おおよそ分かっていただけるかと、思います。(な、はずないか)。
それはさて。「こんなに劣化したのか? 〇〇〇の道徳心 -お天道さまが見ている-」の〇〇〇の中に入るのは「安倍派」であると、愚蛙は決定いたしました。さすが産経。道徳心あるわー。ということにしておきます。
さて。「喇叭を放しませんでした」というのは、ここの場合は讃美をやめませんでしたということです。つまり比喩表現。
フジ産経グループの報道には独特の癖があり、アメリカのFOXニュースとよく似ていると言われますが、12月12日の夕刊フジのニュースに、「安倍元首相は激怒、会計責任者に「ただちに直せ」自民パー券疑惑、岩田明子氏が緊急取材「裏金」は細田派時代の悪習だった」というのがありました。以下、引用します。
自民党派閥の政治資金パーティー券疑惑で、最大派閥・安倍派(清和政策研究会)の複数議員が最近5年間で、1000万円以上のキックバック(還流)を受けて、裏金化していた疑いがあることが分かった。
東京地検特捜部は13日の国会閉会後、議員らの一斉聴取に乗り出す構えだ。ただ、別の派閥でも政治資金収支報告書への不記載・過少記載は告発されている。「裏金」も「不記載・過少記載」も不適切な処理であることは同じで、国民の「政治とカネ」への不信感は強まるばかりだ。
ジャーナリストの岩田明子氏が緊急取材したところ、安倍晋三元首相が初めて派閥領袖(りょうしゅう)に就任した2021年11月より前から同派の悪習は続いており、それを知った安倍氏は激怒し、対応を指示していたという。
(中略)
関係者に取材すると、細田博之前衆院議長がトップだった細田派時代(2014~21年)、現金で還流した分を政治資金収支報告書にどう記載するかについて、派として統一方針が提示されることはなかったという。
派内からは「このままでいいのか」と疑問の声が上がっていたが、細田氏側からは明確な指示は示されなかった。
安倍元首相が21年11月に初めて派閥会長となった後、翌年2月にその状況を知り、「このような方法は問題だ。ただちに直せ」と会計責任者を叱責、2カ月後に改めて事務総長らにクギを刺したという。
22年5月のパーティーではその方針が反映されたものの、2カ月後、安倍氏は凶弾に倒れ、改善されないまま現在に至ったようだ。
別の派閥では、過去の問題を踏まえ、還流分を現金で渡さず、各議員の政治団体の口座に振り込んでいたと聞く。それに比べると、安倍派の処理は雑であり恐れを知らぬものだった。幹部にそろって疑惑が発覚した安倍派は「解体的出直し」が不可避だろう。
自民党5派閥のパーティー券疑惑は昨年11月、「しんぶん赤旗」が報じた。神戸学院大学の上脇博之教授による告発を受け、今年11月から報道各社が報じ、党内の幹部からは迅速な対応を求められていたが、岸田首相の危機感は驚くほど薄く、時間だけが経過した。
■岩田明子(いわた・あきこ) ジャーナリスト・千葉大学客員教授、中京大学客員教授。千葉県出身。東大法学部を卒業後、1996年にNHKに入局。岡山放送局で事件担当。2000年から報道局政治部記者を経て解説主幹。永田町や霞が関、国際会議、首脳会談を20年以上取材。昨年7月にNHKを早期退職し、テレビやラジオでニュース解説などを担当する。月刊誌などへの寄稿も多い。著書に『安倍晋三実録』(文芸春秋)。
(2023年12月13日閲覧)
これは岩田明子記者による文章だと明記されています。
簡単にいうと、悪いのは細田博之であって絶対に安倍晋三ではない、そうして無策なのは岸田総理だ、というに尽きましょう。どうなんでしょうかねえ? 死人に口無しですもんねえ。